沖縄を代表するお酒といえば「泡盛」（あわもり）。沖縄県民からは「島酒」（しまざけ）、もしくは「島」（しま）と呼ばれていることからわかる通り、沖縄県民にとってお酒といえば泡盛をさす人もいるほど、ポピュラーな存在です。

せっかく縁があって沖縄で挙式を行うから、式をきっかけに沖縄の自然・文化・歴史はもちろん、沖縄で愛されているお酒にも親しんでみたい。と思う方も多いのではないでしょうか。

ここではそんな方に向けて、泡盛のおすすめの飲み方や銘柄、楽しみ方についてご紹介します。

泡盛って何？おすすめの飲み方は？どんなバリエーションがあるの？

泡盛とは米（タイ米）と黒麹のみで作られる蒸留酒のこと。米焼酎と似ていますが、タイ米を使うことが多いことや、全麹仕込みと呼ばれる製造工程を用いていること、黒麹菌を醸造に用いていることなどが米焼酎とは大きく異なります。

一般的に販売されているものは、酒造所で数か月～1年程度寝かせたものが多いのですが、甕やタンクで3年以上熟成させた泡盛は「古酒」（くーす）と呼ばれ、角の取れた円熟味が愛されています。特に5年、10年以上熟成させた古酒はバニラのような甘い香りがすると言われるほど香りが良く、値段も通常の数倍します。

一部の酒造所では泡盛を5年～20年ほど預かってくれるサービスも行っており、挙式の記念に泡盛を預け、銀婚・金婚式に取りに来る夫婦も多いのだとか。

宮古島で泡盛を預かってくれる酒造所例

・多良川（多良川酒造・たらがわしゅぞう）

昭和23年に創業して以来、創業当時から変わらない手法で泡盛を作り続けている酒造所。

工場のそばにある洞窟「ういぴゃーうぷうす蔵」にて購入した泡盛を保管管理してくれます。料金は一升瓶5年間貯蔵で1万300円～。

公式サイト：https://taragawa.co.jp/s/?page_id=324

常に湿度の高い宮古島では、氷と水をたっぷりと入れてやや薄めの水割りを少しづつ楽しむのが現地流。人によってはシークワーサーを入れたり、アイスコーヒーやコーラで割ったりすることもあります。コーラやコーヒーを入れる飲み方は、戦後あまり質が良くなかった泡盛を飲むための苦肉の策で生まれた飲み方だと言われていますが、泡盛のクセを感じにくく、すいすい飲めてしまうため、今でも泡盛のアイスコーヒー割を出す飲食店が宮古島島内には数多く残っています。

また、宮古島には本島にはない「オトーリ」と呼ばれるお酒の飲み方があります。泡盛の水割りを100mlほどのグラスにそそぎ、「親」とよばれる人間が口上（今年の抱負やあいさつなど）を述べ、参加者全員がひとつのグラスでそれぞれまわし飲みをし、次の人間が「親」となって...と、永遠にお酒を飲み続けなければならない風習として知られています。

居酒屋などでも泡盛はオトーリ用に水割りが入ったピッチャーで提供され、オトーリ専用のグラスも用意されています。

そのほかにも、池間島周辺のお祭りや祝い事の席では「ミルク酒」と呼ばれる泡盛が提供されることもあります。作り方は、泡盛（菊之露が多い）にコンデンスミルク（ネスレのイーグルが多い）を混ぜるだけ、かつて宮古島で祭りの際に各家が作っていた「ミキ」とよばれるどぶろくのようなお酒の代用として、泡盛と練乳を用いたと言われています。

おすすめの銘柄と酒造所は？

沖縄県には47社1組合の泡盛の酒造所があり、そのうち宮古島には5つの酒造所が、伊良部島には1つの酒造所があります。製法や麹菌、材料の米はどの酒造所も同じものを使うことが多いようですが、それぞれ水、仕込み方、貯蔵方法などが微妙に異なるため、泡盛もそれぞれの酒造所の個性が現れるそうです。

どの泡盛も作り手が思いを込めた逸品で優劣をつけられるものではありませんが、やはり泡盛初心者はクセの少ないものから飲み始めるのがおすすめですよ。ここではそれぞれ特徴のわかりやすい泡盛をご紹介します。

初心者向けのクセがなく飲みやすい泡盛の例

・豊年（渡久山酒造・とくやましゅぞう）

伊良部大橋や下地島空港で一躍人気の観光スポットとなった伊良部島。そんな伊良部島の地下水で仕込んだ泡盛はバナナのようなフルーティーな味わいが特徴です。

・宮の華（宮の華酒造・みやのはなしゅぞう）

酒造所の社員の8割が女性という珍しい酒造所。無農薬や化学肥料を使わない米を社内で精米するなど、女性ならではの細やかな心配りが酒造りにも活かされています。そんな泡盛は米の甘みが引き立つまろやかで優しい味わいが特徴です。

慣れてきたら挑戦したい、風味が豊かで味わい深い泡盛の例

・沖の光（沖の光酒造）

酒造所にある泡盛の7割が古酒用、新酒として出荷される泡盛でさえも一年以上必ず熟成させるというこだわりを持つ泡盛。泡盛らしい風味が豊かで地元で根強い人気を持つ泡盛です。

式の出席者にもふるまいたい！おすすめの泡盛

せっかくの宮古島での挙式、おいしい泡盛を自分達だけで楽しむのではなく、出席者と一緒に味わってみませんか？ここでは、披露宴の出席者に提供するにふさわしい泡盛をご紹介します。

マンゴースパークリング　kapua（カプア） (多良川酒造・たらがわしゅぞう)

宮古島産のマンゴーを多良川酒造の泡盛で仕込んだスパークリング泡盛。果実酒ですが、色はシャンパンのような淡いゴールドで乾杯に用いても遜色ありません。宮古島限定販売なのでお土産にもぴったりです。

まとめ

宮古島・伊良部島には6つもの泡盛酒造所があり、それぞれ熟成年数、製造方法、酵母などに工夫を凝らしています。泡盛の通によればその年によっても微妙な違いが出るそうで、ひとつつとして同じ泡盛は存在しないのだそうです。

そのため泡盛との出会いは一期一会、気に入った泡盛を探すにはとにかく販売店を巡り試飲を重ねるのが一番。その中で「後味がすっきりした○○が好き」「××をシークワーサーで割って飲むとおいしい」という自分の好みが見つかるのではないでしょうか。

また、泡盛には自分たちで古酒に「育てる」という楽しみ方もあります。結婚の記念に甕で泡盛を購入し、10年、20年ものの古酒になる日を楽しみに熟成させる時間は、挙式を経て家族になってゆく過程にも重なりかけがえのない思い出になるのではないでしょうか。