「心づけ」とは、結婚式において、新郎新婦が結婚式でお世話になるスタッフの方にお渡しする心ばかりの感謝の気持ち。つまり、海外で言う「チップ」のようなちょっとした金額の現金のこと。
「日本の昔ながらの習慣」であり、あくまで「お気持ち」を伝えるもの。そのマナーについては「こうすべき」というのが明文化されておらず、いざその場面になったらどうすればいいの?と不安になるものでもあります。
今回はそんな「心づけ」についてしっかり解説します。いざという時のために、事前にチェックしておいてくださいね。
そもそも「心づけ」とは何でしょうか?辞書で引いてみると以下の意味があります。
① 気をつけること。注意。配慮。心添え。 「夕飯には母親の―で一銚子付けて」〈紅葉・多情多恨〉
②世話になる人に感謝の気持ちを示すために与える金銭や品物。祝儀。チップ。「使用人に心付けを渡す」
③ 連歌・連句の付合 (つけあい) 手法の一。前句の心情表現・情趣をとらえ、その理由などを具体的に示して付ける方法。→詞 (ことば) 付け →物付け
(デジタル大辞泉(小学館)より)
結婚式の場合、②の世話になる人に感謝の気持ちを示すために与える金銭や品物。祝儀。チップの意味が該当します。
「日本にはチップ文化がない」といわれますが、実は「心づけ」という形でしっかりと存在しているのです。ただ、カフェのウエイターやホテルのクリーニングなど、サービススタッフ全般に渡す「チップ」とは異なり、「心づけ」を渡すような状況は、現在の日本の場合は限られています。
この風習が残っているのは、主に以下のような場合です。
少し前までは、病院でお世話になったお医者様や看護師さんに「心づけ」を渡すこともありましたが、現在では患者さんの扱いを公平にするために、逆に「心づけ禁止」となっており、厳格になっています。筆者も、以前入院した時にシュークリームを看護師さんに差し入れしましたが断られました。
さらに最近では、冠婚葬祭についても、全て一括して業者さんにお願いする場合は「サービス料金」として、あらかじめ「心づけ」に相当する金額を含めて請求されることも多いので、かえってお断りされる場合もあります。よほど特別対応をお願いする場合ならいざ知らず「心づけは基本的に不要」という動きはかなり広まっています。
このように、その時の社会情勢によっても左右される風習であり、かつ、チップのように普段から行う習慣ではない事、さらに地方ごとにその基準となる金額が異なることもあり、非常にあいまいな、まさに「空気を読む」技術が求められるのが「心づけ」なのです。
結論から言うと「心づけ」は海外リゾートと比べ、沖縄リゾートウエディングにおいては渡す必要はありません。
「心づけ」はあくまでお気持ち。渡す義務がないことはもちろん、渡さなかったからといって「空気が読めない」と思われたり、失礼にあたることにはなりません。
ですがカメラマンさんやヘアメイクさんなど、式場のスタッフではなくフリーの方にお願いした場合、式場に払うサービス料がないのでぜひ渡したいと思う方も少なくないはず。
元々渡す必要がないからこそ、渡す場合はスムーズにお渡ししたいもの。どうしても渡したいという方は、早めの準備がおすすめです。というのも、沖縄リゾート婚では仮に下見をした場合であっても、挙式までに打ち合わせする回数は少なく、当日の天気の急変などもあったりするので、プランナーさんやスタッフさんは予定通りではない不測の対応を迫られることも多いもの。
お渡しする場合、対象となるのは、会場の責任者の方、ヘアメイクさん、プランナーさん、カメラマンさんなど、自分が関わるスタッフさん分+2~3袋多めに用意しておくと「足りなかった!」ということにならずにすみます。
もし、式場が「心づけはご遠慮ください」という会場であれば、ギフト菓子などをお礼の品として用意しておくと良いでしょう。
沖縄にはいわゆる「デパ地下」が1つしかないので、リンク先にあるもの以外のパティスリーブランドで、スタッフの皆様が分け合いやすいように、個別包装のものを選ぶのがおすすめです。
「心づけ」の結婚式の相場はだいたい1袋1,000円~1万円ほど。元々渡す必要のないものですので、「1,000円だと少ないかも?」と心配になるかもしれませんが、お気持ちなので新郎新婦が負担にならない金額を設定しましょう。ここでは、職種別金額と渡すタイミング、そしてのし袋をどうするかを解説します。
①ウエディングプランナー:1,000円~1万円/当日または後日に
②会場スタッフの責任者:1,000円~1万円/控室にあいさつに来た際に
スタッフさんはたくさんいるので、個々に渡すのは大変。ここは代表の方に「スタッフの皆様へどうぞ」と告げてお渡しします。
③カメラマン:1,000円~1万円/リハーサルや撮影が始まる前に
④ヘアメイク、着付け:1,000円~5,000円/支度中に
⑤司会者:1,000円~1万円/挙式披露宴が始まる前に
ご祝儀と同列なので、新札を用意します。当日思いがけず必要になっても、新札を用意することは難しいので、事前に多目に心づけの金封を作っておいた方が良いでしょう。
「心づけ」は、水引とのしが印刷された略式のご祝儀袋で、「紅白・結び切り」のものを選びましょう。装飾が派手にされていないものの方がベターです。
金額が5,000円以下の場合は、のし袋ではなくポチ袋に入れても良いでしょう。
表書きは「心づけ」ではなく「御礼」もしくは「寿」です。水引の下には両家の姓を書きます。(例えば、新郎が鈴木さん、新婦が佐藤さんの場合は、鈴木 佐藤と並べて書きましょう。)
もしヘアメイク担当など、新婦だけお世話になる場合は新婦の姓のみ書きます。
新札のお札を向きを表が正面になるように揃えて入れ、ポチ袋の場合は、合わせて三つ折りにしてから入れます。
封筒は糊付け、もしくはおめでたい「祝」などのシールを貼ります。
「心づけ」は、基本的に新郎新婦が渡すもの。ただ、挙式当日の新郎新婦は当日やることがたくさんあったり、式に向けての緊張があったりするもの。もしゲストを呼ぶ結婚式であれば、親御さんや親族の方にお願いするという手もあります。
その場合は「誰に・いつ・どの封筒を」渡すのかをリスト化しておき、親や親族が困らないようにしましょう。祝儀袋に付箋を貼るのもおすすめです。
「心づけ」は、義務ではありませんが、結婚式では、幸せのおすそ分けともいえるもの。
普段なかなか接することのないマナーですが、昔から伝わる礼儀作法を学ぶことは、二人が夫婦として社会に認められる第一歩と言えるのではないでしょうか。
感謝の気持ちをスマートに表せるような、素敵な大人のカップルとして、晴れやかに式を挙げられるように、ぜひ用意してくださいね。
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